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2009年8月に読んだ本

8月は未だ記事が未完成のモルディブ旅行があったこともあり、結構本を読む時間が多く取れました。
それに何しろ暑いのであまり出歩きたくなくて(笑)、家でゴロゴロしていたことも多かったし…。(汗)
と言うわけで、最近にしては一ヶ月の冊数の新記録かも♪


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「君のためなら千回でも(上)(下)」 カレード・ホッセイニ


meloさんのブログでアフガニスタン出身のこの作家のことを知り、紹介されていた「千の輝く太陽」は貸し出し中だったので、まずはこちらから読んでみました。

アフガニスタンの裕福な家に生まれたアミールとその家の召使の息子ハッサン。
アミールはスンニ派パシュトゥーン人であり、ハッサンはシーア派ハザル人。
いくら優れていたとしてもハザル人が学校に通うことはないし、勿論字も読めないし、仕事も召使い等差別的なものに就くしかない。
こんな状況を見ると、これはすごく昔の時代背景の小説なのではないかと思うけど、さすがに彼らが大人になってからの出来事ではあるがあの9.11が起きたと言う記述のところで意外と今に近い時間を描いたものであるということにちょっとショックを受ける。
アミールの偉大な父ババが召使の息子であるハッサンにも愛情を注いでいたこともあり、ハッサンとアミールはまるで兄弟のように中の良い友人のように育つのだが、子供ながらの残酷さを持ってアミールはハッサンに対しどこかで見透かしているようなところもあり、父の愛情が自分に注がれないと感じることもあってある時ハッサンに対して取り返しのつかない裏切りをしてしまう。

ストーリーは感動的で素晴らしい。
それに対する感想は、あまりにありすぎてそして言葉では言い表せないことばかりだなぁ。
ただ感動だけしていて良いのか…という思いもあるし。
アフガニスタンと言うとニュースでその状況を聞く国であって、特に私がそういったことに深く興味を持って見聞きしていなかったということがなんだか恥ずかしくなるような気がする。
この物語にしてももっと詳しくアフガニスタンのことを知って読んでいたら、また違う観点から読みとれることもあるのだろうし、本当に理解できることも増えるのだろう。
本には全く関係ないことだけれど、普段新聞を読むときにも後ろから拾い読みして国際面や政治経済面などはすっ飛ばしてしまうような私なので、もう少しいろいろなことを知るということが本を読む楽しみをもっと増やすのだなぁと思い、ちょっと反省。

是非「千の輝く太陽」も読んでみたいと思います。
翻訳ものが嫌いと言うわけではないのだけれど、入ってくる情報量が日本の小説に対してのもののほうが多いということもあり、そんなに数多く読んでいない海外の小説。
いろいろな方がこれは良いよって紹介していただけると読書の幅も広がり嬉しいです。


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「アヒルと鴨のコインロッカー」 伊坂幸太郎


デビュー作から順番に読んでいる伊坂幸太郎。
やっとここまできたかー!

面白いですね~。
ストーリーが面白いのは勿論、その組み立て方により、より面白い小説になっていて、端から端までとてもよく考えて作られていると言った感じ。
このセンスがね~人気のある所以でもあるのでしょう。
現在と二年前の話が交互に組み込まれていて、それがどんな風に接点を持っていくのかそれが結構最後の方までわからないって言うのがまた良かったです。
「えーっあいつはこういうことだったんだー」と、現実の世界では何となくバレバレになりそうな事柄なんだけれど、伊坂マジックにかかるとあまりに自然で飄々とことが進んでしまうのが不思議なほど。
タイトルの「アヒルと鴨」って言うのも、本文前に「No animal was harmed in the making of this film. -映画のエンドクレジットによく見られる但し書き」とあるのも、対応する現在と二年前の章の終わり方が韻を踏むように呼応しているのも、センスありすぎ!
伊坂さんって頭の中をどんな感じにして小説書いているんだろう…ととっても気になります。

ただ、今回ちょっと自分的に残念だったのは、伊坂作品の特徴の一つである他の作品とのリンクをうまく見つけられなかったこと!
こちらの
ファンサイトリンクを見て「えーっそんなこと全然気がつかなかったなぁ~」と愕然としました。(笑)
それから罪に対する描かれ方と考え方。
「重力ピエロ」のときにもちょっとそこが気になってしまったのだけれど、今回も最後の最後にそういうのはどうかなぁ…と思ってしまいました。

次の作品は「チルドレン」だけど、これは一番最初に読んじゃったので、次に読むのは「グラスホッパー」。
伊坂幸太郎は図書館でもなかなかの人気のようでいつも在庫が少ないのだけれど、がんばろう!!


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「おとなの味」 平松洋子


もうしわけない味、奢った味、熟れた味…などなど、いろいろな平松さんの味がこれでもかと言うように書かれている本。
この方の文章はいいですね~。
読みやすいし美しいし、何より目の前にそれそのものが出てきそうな、そして出てくるもの全てを味わってみたくなるようなそんな文章。
食材やお料理そのものに対する思い出などが書かれているものもあれば、あそこの店で食べたあれと言う風に限定して書かれているものもあり。
そういった本当に食べられる味については巻末に登場したお店や宿のリストがあるので、片っ端から行けたらどんなに幸せだろう…とうっとりとしてしまいました。(笑)
そんな中でも一番行きたいなぁと思わせた獣の味のお店が、その後閉店しましたって書かれていたのは残念だわ~。

ちょっとした時間はあるけれど、なかなかそこまで食べに行くほどの時間も労力もないわ~って時に、これを読んで食い倒れの旅に出た気分になるのもいいかもね。
時々ページに挟まれているそれぞれの味の写真もとても素敵だし、とても楽しい本です。


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「人生のちょっとした煩い」 グレイス・ペイリー


新聞の書評欄で、この本の訳者である村上春樹がこの人の描くものは全部自分が訳したいと思っている(実際にこの著者の三冊のうち、これを含めて二冊は彼が訳しています)と書かれてあったのを見て、興味をもったので読んでみた。
が…、難しい…。
とても退屈である…。
本当の小説好きに読んで欲しいと書かれてあったので、私は本当の小説好きではないのかも~!

多分私には向いてなかった理由のまず一つは、短編の物語が淡々と進んでいくのだけれど、その中に含まれているユーモアみたいなものが訳されたものを読むだけでは私には分かりにくかったから。
訳出に協力している方が「ああ、またグレイス・ペイリーですか。この人の文章って結構大変なんですよね。」と村上春樹に言ったというのだから、原書であっても難易度高いのかも。
それからこの作者の方はロシア系ユダヤ人の移民だそうですが、そういった民族的な背景などを私が全く知識として知らないというのも楽しめない原因のひとつのように思えます。

う~ん、いずれにせよこの方の作品は後もう一つしか日本語にはまだ訳されていないのだけれど、それを読むことはないような気がします。


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「東京島」 桐野夏生


これは出版されたときに結構話題になっていたので読みたかったのだけれど、もちろんまだ文庫になるはずもなく、いずれ読みたいと思って記憶にとどめていた本。

久々の桐野夏生ですが、勢いありますね~。
なんと言うか差し迫ってくるオーラのようなものがあります。
女性の持つおどろおどろしさを描かせたらやはりこの方の右に出る方と言うのはそうそういないのでは。

夫と2人クルーザーで航海中に嵐に会い、今は島民の間で「東京島」と呼ばれているこの元無人島でオンナであるという事実を最大限に使い生き延びていく主人公清子の物語。
もう若くもない自分が島にただひとりの女性だからともてはやされ、そして賢く生き抜くために犯した自分の裏切りが失敗した後は、一気に見向きもされず生きていくことさえ難しい状況になるが、またそこから這い上がっていく。
なんともずるがしこく逞しい。
しかし、ここまで出来れば本当にアッパレと言う感じで、これは桐野さんじゃないと描けないな~と思うのです。

最終章の二つの展開がまたいいのですよ~。
そういうことになりましたか~と思わずうなってしまいました。
最近読んだ桐野夏生さんの本の中では一番です。
と、今Amzonのレビュー見たら、結構みなさん酷評ですね…。
私は良かったけどなぁ。


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「沈黙博物館」 小川洋子


これまたいかにも小川洋子さんですね~。
設定はこれは絶対に日本だと思うのだけれど、どこのどんな地方なのか、いつの時代の設定なのか、そんなことが全く分からない不思議な世界の話。

ある老婆に雇われた博物館技師である「僕」がその老婆と老婆の娘である「少女」と「庭師」と「家政婦さん」の4人と暮らすようになり、沈黙博物館と言う名の形見を集めて展示する博物館を完成させるというストーリー。
この登場人物全員に名前がないと言うのがこの小説のもやがかかったような世界を現しているようでとても良い!
以前読んだ「密やかな結晶」でもそのようなものが描かれていたけれど、消えていくものに対する愛着と言うか執着と言うか、それがとても不思議な世界となっていて読んでいてとても引き込まれてしまうのです。
そういった世界を描くことが出来るのは、文章のきれいさや、読んでいて不思議と情景が浮かんでくるような言葉の使われ方によるものも大きいのではないかな。
小川洋子さんの描くストーリーも好きだけれど、文章そのものがとても好きです。

文章はとても美しいですが、内容は結構残酷だったりもします。
それがまたこの不思議な世界を作り出していて、思わず引き込まれてしまうのですけれど。
老婆は死んでしまいました。
そして「僕」に顕微鏡の楽しさを教えてくれた「兄」もどうやらそちらの世界の人となってしまった模様。
でも本当にそうなのかしら。
どちらがこちらの世界でどちらがあちらの世界なのか、果たして本当にこの世界はあるのか。
とても余韻のある読後感を味あわせてくれる小説です。


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えー本の紹介の記事が長い上に恐縮ですが…。

こちらに引越して来てから早2ヶ月半ほど経ちますが(早いわぁ…しみじみ)、つい先日、やっと以前住んでいた賃貸マンションの改装費負担内訳が決定し、敷金が戻ることになりました。

近頃は常識らしいのでご存知の方も多いかと思いますが、以前は出て行った後の修繕費はほぼ借主負担と言うことが多かったようですけど、今は通常使用により汚れてしまったり破損してしまったと言う経年劣化とされるものについては貸主の負担となることがほとんど。
私たちは前のマンションに7年くらい住んでいたのですが、その頃はまだ昔の常識が通っていたことも多かったのか、契約書にはハウスクリーニング等を含め結構なものが借主負担となるように取り決められておりました。
その後、そのマンションの持ち主が変更となってしまったこともあり、管理会社も変わり、しかし契約書は以前のものがそのまま流用されていました。

で、今回の退去に伴い、引越し日、荷物を全部運び出した後に管理会社の方がいらして、私たち夫婦の立会いの元に細かい部分に付き破損等の確認をしました。
自分で言うのもどうかなとは思いますが、今回の引越しでリフォーム前物件(今のマンションもリフォーム前でした)を多く見たと言うこともあり、7年住んだにしては元の家はかなりきれいでした。
まぁうちの場合子供もいないし、共働きで昼間はほとんど家にいないし、2人ともタバコは吸わないし、特に私たちがきれい好きと言うことではないけれど、必然的に汚れることがなかったのです。
私が気になっていたのはキッチンの床の汚れくらいでしたが、これも確かにものすごくマメに拭き掃除をしていたわけではないけど(汗)、でも普通に調理して普通に掃除しても溜まってしまって落ちなくなった汚れでした。

その立会い時に契約書を何度も見せられ、チェックをするたびに「これこれについては○○%の借主様負担となっております」の繰り返し。
なにやら金額のことばかり…。
勿論それから修繕や交換に対してかかる費用もその時点では分かりませんので、私も気になることは多かったものの、そこでは何も言わず確認と検証のみで立会いは終わりました。

そしてしばらく経った後、改装費の負担明細書と言うものが今の家に郵送されてきました。
立会いの状況から見てかなり請求してくるのだろうと言うことは予想しており、実際にその通りの結果。
リフォームと言うのは特に賃貸として貸し出している住居の場合には、住むには不便はないけれどそのままでは次の借主が付かないので、次の借主を得るために貸主が行なうことのはずなのに、とにかくかなりのものが元借主の私たち負担となっており、工事内容にも分からない点があったので電話で問い合わせてみることにしました。

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特に私たちがさっぱり分からなかったのが、ここにある「残材処分費 諸経費」と言うもの。
金額もまとまっていますので一体何かと尋ねたところ、その回答は、「例えばリフォームの際の養生のために使ったテープなどの費用や、畳やふすまの張替えなどで出た不要物(まぁ古い畳とかそのようなものらしい)の運搬などにかかる費用」だというのです。
しかし、何万円もするマスキングテープがあるとは考えにくいし、畳屋さんに畳の交換を頼んだ時に畳交換費用の他にそれを運搬する車調達のための費用を請求してくる畳屋さんがいるなんてことないですよね。
工事業者の方にその残材処分費の内訳を聞いて欲しいと言っても、それは出せないでしょうの一点張りで(この管理会社の別の部署が貸主となっており、この残材処分費には貸主負担もあるというのに内容もわからずOKすると言うことも常識的に考えられない!)、証拠もなく勘ぐってはいけないとは思うけど、これは預けてある敷金の20万円に出来るだけ近くなるように上乗せしたとしか思えなくなってきました。
実際にこの項目は最後にあり、これが加わることにより果てしなく20万円の負担額に近づいていました。

この後いくつかの質問に対して回答があり、もうそのやり取りの最中はすれ違いばかり…。
意味を問うもかえってくるのは金額や割合のことばかりでそれもイマイチ信憑性がない…。
お金を払いたくなくて聞いているのではなく、意味のわからないことには払えないということなのに。

いよいよこれでは話が進まないので、文書による問い合わせ及び回答にしてもらうこととし、そして文書によるやり取りが2回あり、やっとこのたび改装費負担分が決定しました。
最初は確か限りなく19万円に近かったものが、一万円弱になりました。
ここまでおかしな明細書じゃなかったら、中途半端に払っても良いかなと思う金額であったら、もしかしたらヘンだなと思いつつも面倒で何の確認もせずにOKを出してしまったかもしれないけど、最初があまりにひどく、また都度の対応があまりにお粗末だったために、こちらもやる気が出てしまいました。(笑)
この管理会社は東○リバブルと言う会社でしたが、以前一度同系列の不動産屋から駐車場をかりていて、その際も納得できないことがありました。
今回は途中からマンションの管理会社がそちらに変わってしまったので避けようがなかったけれど、二度とこの管理会社を通して物件を借りようとは思いません。
私は電話担当だったのでまぁ大した手間はなかったですが、文書作成等がんばった夫にはお疲れ様~♪と言いたいです。(*^_^*)

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そんな私たちが今住んでいるところは坂が多く、うちも駅からずーっと上り坂です。
そんなわけでマンション売り出しの広告にもこんな売り出し文句が♪
「駅までの道程に坂なし!!」
びっくりマーク二つも付いてるし、よほど強調したいのだろうと思わず笑ってしまいました。
「駅からの道程は上り坂ばっかり!!」な、夏には駅から歩いて帰ってくると汗だくになる我が家ですが、見晴らしいいし風は通るし、私たちはかなり気に入って住んでまーす!
by rakurakurakuko | 2009-09-04 13:05