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2009年11月に読んだ本

あっと言う間に12月になっちゃいましたね~。
あー早い、早すぎる…。
奈良に越してきてからなんと半年近く経ってしまったなんて信じられない~~~。
相変わらずボーっとして過ごしてますが、そんな私でさえも走り出すのかしら…。(笑)
走りだすにしてもそうでないにしても、まぁボチボチのんびり、寒くなると家にいる時間も増えることでしょうし本を読む時間は作っていきたいな~と思ってます。


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「テンペスト」 池上永一


二冊目の池上永一。
この本が出た頃に新聞にほぼ一面を使った広告で著名人がこの本を大絶賛しており、それ以来ずっと読みたかったもの。
一巻のページ数も多く、しかも上下二段組のページ設定になっているのでかなりのボリュームです。

沖縄が琉球王朝として日本から独立していた頃の物語で、まるで壮大な歴史絵巻を見ているよう。
これを読むと「あぁ沖縄ってやはり日本と言う大きな括りでははみ出る部分が多いよなぁ」と心底思います。
独自の美意識と知識で小国なりとも混乱の世の中を乗り切ろうとする姿勢がいいのよね~。
巻末に参考文献として「北谷町誌」と書かれているので本当にあったことに基づいて書かれている部分も多いのだと思うけれど、どこまでが本当のことでどこからがフィクションなのか凄く知りたい!
こんなにきらびやかな世界が本当にあったの?
もしかして主人公真鶴のモデルとなるような宦官っていたの?(小説内の真鶴は実際には宦官ではなく女性であることを偽って朝廷に上っていただけだけれど)

2009年11月に読んだ本_f0043911_9502344.jpgこのテンペスト、大河ドラマにでもなりそうな壮大なテーマの小説なのだけれど、全体の雰囲気としてはひたすらに軽く…。
表紙と裏表紙裏にある劇画タッチなイラストがその雰囲気をよく表しているけど、なんと言うかとても漫画チックなのです。
真鶴が一瞬にして女性から男性に変われるという設定の不自然さや、昔流行ったテレビのジェットコースタードラマのような、これでもかとめまぐるしく大どんでん返しが続くのはエンターテイメントとして良しとしても、登場人物たちのしゃべる言葉があまりに陳腐なのがちょっと残念。
好き嫌いは別としてテーマとセリフの軽さにあまりに隔たりがあったような気がします。
このような感想は以前読んだ「ぼくのキャノン」のときにも感じたので、もしかしたらこの方の個性と言うか特別に意図した方向性なのか?
でもまぁ全体としては琉球王朝のきらびやかさと異国チックな雰囲気を楽しめてとてもおもしろい読めたので、お薦めしたい小説です。


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「八月十五日の夜会」 蓮見圭一


表紙にとても雰囲気があり、中を開いてみたらなんと良く行く伊是名島が舞台のようだったので借りてみた本。
タイトルの八月十五日と言うのは1945年8月15日。
戦争末期の伊是名島で起こったことを元兵隊が話すテープを主人公の大学生東江(あがりえ)秀二がひょんなことから聞くことになったという設定。

伊是名島と言うのは今でもとてもじゃないけど便利とは言えないロケーションにある小さな島。
この小説は「沖縄戦のもう一つの真実」を描いたとされているので、何か元になった情報や資料があったのだろうけれど、小説によるとこの島は米軍による砲弾も一切受けていないらしい。
しかし悲惨さを比べるということは無意味ではあるだろうけれど、戦うよりももっと無意味な死があふれていたのですよね。
小説に出てくる地名も当たり前だけれど聞いたことがあり訪れたことがある場所で、島民の名前などもこの島の名家として今でも誰もが知っている名前と似ていたり。
ちょうど今回、
伊是名島の旅行前に借りて読んでそのまま伊是名にも持って行って読んでいたのでちょっと複雑な気分だった。
ホントにむごい出来事、悲しい死です。

この作者はこのことを伝えたくてこの小説を書いたのでしょうか。
だとしたら、冒頭の主人公東江の家庭にまつわる共産党がらみの話や兄の話はちょっと必要なかったのではないかなと思います。


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「駆けこみ交番」 乃南アサ


新米巡査、高木聖大が閑静な住宅街である等々力の交番に勤務し、そこで起こる事件と高木聖大を取り巻く人々の物語4編。
乃南アサさんの刑事小説は、音道貴子シリーズが好きなんだけど、そんな話を載せたときに
いらさんが「高木聖大のシリーズもいいよ~」と教えてくれて、図書館で見つけ「これか~」と思って読んでみました。
が、どうやらこの前にもう一つ、見習い中の物語もあったようで、今度はそっちを読まなくちゃ…。^_^;

刑事小説といってもこちらは軽いタッチの話で、事件解決よりも人間関係や巡査と言う仕事についてよく描かれている高木聖大成長ストーリーと言った感じ。
刑事と言うと何事にも厳しい人のようなイメージがあるけれど、この高木聖大は典型的な現代っ子で、もしかしたらシリーズ第一弾には理由が書かれているのかもしれないけれど、刑事なんかじゃなくフリーターなんかしててもおかしくないんじゃないって思うような若者。
とても人懐っこいからか、そのあまり警察関係者らしからぬ感じからか、この地域のある年配の女性からとても慕われるようになる。
この女性を含む老人のグループが「とどろきセブン」と名乗り高木聖大応援団のようになるのだが、出来すぎだけど結構痛快で面白い。
ただ、現代っ子っぽさを出すためなのか、この高木のセリフがほとんど全て「…っすよ」「…っすね」な語尾で、あまりにそればかりなのがちょっと気になる。
いくらなんでもそれは使いすぎでしょう…。
もう少しバリエーション増やして欲しかった~。

こういうシリーズものは気に入ると全部読みたくなるのよね。
これはとても軽いタッチのものだし、ちょっと重めの小説読みすぎたときの合間にちらちらと読むのも良いなぁ。
まずはシリーズ第一作目らしい「ぼくの町」から探して読んでみたいと思います。


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「きみのためのバラ」 池澤夏樹


8つの物語が収められている短篇集。
池澤夏樹さんの本は、時々とんでもなく退屈なものがあるのだけれど、この方の短篇集って私にとってははずれがないように思い、これもとても素敵な本でした。
短編って日々の出来事を淡々と描いているようなものが多く、長編小説に比べてしっかりとした盛り上がりのないものが多かったりするのだけれど、それを上手く書けるってとてもセンスが必要なことではないかな~。

短編のテーマは様々ですが、どれもちょっと旅の気分が盛り込まれていたり、異国の空気が感じられたり。
ひとつひとつの話はどれも静かなもので、でもどれもみんな印象的な場面や一言があるのがいいのです。
「20マイル四方で唯一のコーヒー豆」なんて、もうタイトルだけでやられました!

そんな短編の中の例えば「人生の広場」と言う話。
トマスはぼくに「人生の曲がり角のようなときがあると考えるか」と聞き、「曲がり角で考えるのではなく、私はそこで立ち止まった。つまり広場なんだ。次の道を選ぶのではなく、大事なのは先を決めないままその広場でしばらく過ごすということ。」と言う。
広場はどんな役割をしたのか。
8つの話を読んだ後に、ちょっとほわっとした暖かい気分になれます。


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実は、これ、フィノさんご夫婦と京都に釣りに行った時に買ったもの。
すごーく食べたくて買った割には、冷蔵庫の片隅で忘れ去られそうになっておりました…。(汗)
「鯖のへし子」です。
若狭地方および丹後半島の伝統料理で、越冬の保存食として重宝されている。現在では若狭の特産品・土産物として、漬け込む魚の種類も「鰯へしこ」「河豚へしこ」などが加わり、京都を中心とする関西圏で親しまれている。 ぬかを軽く落とし火であぶったものはお茶漬けや酒の肴に良い。新鮮なものであれば刺身で食べることもできる。(Wikipediaより)
へしこと言うものの存在は確か、発酵食品のことならこの方にかなうものなしの小泉武夫先生の本で知ったように思いますが、このたびやっと食べることが出来ました。
やっぱりこれも関西圏の食べ物だったんですね~。

食べ方の紙にはこのまま薄くスライスして食べても良いと書かれてあったのでかなり新鮮なもののようです。
が、やっぱりへしこと言えばお茶漬けだよな~。

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と言う訳で、鯖のへし子茶漬け。
ほうじ茶のお茶漬けにしてみました。
へしこは適当な大きさに切ってから糠は落とさずそのまま軽く火で炙ってからご飯にのせます。

おいしーーーい!!!
結構塩っ辛いけどその塩っ辛さと漬かっている糠の旨みが絶妙ですね~。
くさやみたいにもっと臭いのかと思っていたけど、臭みはそれほどでもなく(私が麻痺してる??笑)旨みが断然勝ってる感じ。
これはお酒のあとにさらさら~っとやるのにぴったり!!
やっぱり「くさいはうまい」。
発酵食品バンザイでございます。(*^_^*)
by rakurakurakuko | 2009-12-02 10:20 | 楽子の本棚